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タイトルどうり、グロテスク

まりもです。





3月くらいは


あまりお天気もよくなかったので


室内に引きこもる日が多かったです。





そんな風にして過ごす時間が長くなると


内向きな思考になってくるので、


興味関心も内向きに向かいます。





過去に起きた未解決事件など


その後、どうなった!?


という好奇心がフツフツと湧き出す時期でもあります。





追及したところで


どうにもならないというオチですが


毎年3月になると思い出すのは


東電OL〇人事件です。






被害者の女性は


昼間はウルトラスペックOLでありながら


夜は娼婦。





この事件は人間の二面性と欲と恐怖心が


わかりやすく体現された事件として


注目されていました。





わたしは当時は


さらっと、そんなこと(娼婦)しなければよかったのにねぇ


なんて、自分も若かった(多分当時ハタチそこそこ)ので





変わった事件、として心に刻まれていましたが


リアリティは感じられず


私には関係ないくらいに思ってました。






でも自分も


この被害者の年齢に近づくようになってから


年をとればとるほど生きにくくなるという


女性にかけられた呪いのようなものを感じるようになってきました。





この事件の被害者に近しいものが私の中もなにかしらある、と


思うようになってからは


思い出したときに、事件を振り返ったり、


新しい考察のような記事を読んだりしてました。








言わずと知れた、桐野夏生さんの「グロテスク」


東電OL事件をモチーフに書かれた長編ですが


4人のそれぞれに個性を持った女の子たちが






名門Q女子高(おそらくK応女子)で


「生粋のお嬢様」という持って生まれた才能?の中で生き抜くために


それぞれの特性を生かすこと





ミツルは東大医学部レベルの知性、


ユリコは爆裂な美貌、


そしてそのどちらでもない主人公は悪意を磨くこと






最後の佐藤和恵は主人公に少し近いけど、


悪意を磨く、ということを思いつくこともなく


学力も美貌もトップに追いつこうと


ただひたすら努力を重ねて






でもその適正が乏しく、なんだか周りに滑稽な印象を与えてしまう


佐藤和恵は最後まで抗い続けた。






名門女子というカオスの中に生存し続け


やがて社会に出て、大人になった時に


そのうち2人は娼婦になった。





爆裂な美貌をもっていたユリコは


その美貌が加齢で衰えて娼婦としての商品価値が落ちた時


「これがほんとのわたし」


と言っていた。





若いころ、美貌で逆立ちしても太刀打ちできなかった


あのユリコが


年を取ったら自分(佐藤和恵)と大して変わらない見た目レベルになっていた。






その歪みと加齢が臨界点を迎え、


「怪物」になったとき


「怪物」を好きな男に出会ったら


自分たちは殺されるだろうとユリコは予言した。






この「怪物」好きな男とは


いわゆる、サターンのことだと思います。


悪魔がお迎えに来るんだと。





ユリコは言います。


悪魔は衰弱、弱体、醜悪を好んでいる。


私たちをもっと衰退させてボロボロにして、最後に殺すの。






このお話は


人類にかけられた加齢や美醜、学歴社会、貧富の差などに


あらかじめかけられた呪いの設定について書いたとしか思えない


ずっしりとした負の歴史の重さを感じるお話に思えました。






そろそろわたしたちは


自分自身でこの設定された呪いを解いていかないと


いけないように思います。





そのためには


何者か、になろうとせず


ありのままの自分であることへの絶対的な肯定感


がマストです。


(わかりやすい美貌とか知性とかだけじゃもうないもんね時代的に)






グロテスクを読了した日が


皮肉にも3月19日


東電OL被害者のご遺体が発見された日と重なって


身震いしましたが






これもなにかの縁かもしれませんので


今回はこのことについて記しておこうと思いました。

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